【専門家コラム】ストレスチェックは「実施後」が本番!やりっぱなしを防ぐ事後措置の重要性
「毎年ストレスチェックを実施しているけれど、結果を配布して終わっている」
「高ストレス者が出ても、産業医面談に中々繋がらない…」
企業のメンタルヘルス対策に関するご相談をお受けする中で、人事・労務ご担当者様から最もよく伺うお悩みが、この「やりっぱなし」状態です。労働安全衛生法に基づく義務だからと、ただ実施するだけで満足してしまっては、せっかくの時間とコストがもったいないばかりか、本来の目的である「メンタルヘルス不調の未然防止」を達成することができません。
なぜ「やりっぱなし」がリスクになるのか?
ストレスチェックの最大の目的は、従業員自身のストレスへの気づき(一次予防)と、職場環境の改善にあります。高ストレスと判定された従業員をそのまま放置してしまうことは、メンタルヘルス不調の悪化を見過ごすことになりかねません。
万が一、業務上の強いストレスが原因で休職や離職に繋がった場合、企業の「安全配慮義務違反」が問われるリスクも生じます。「測って終わり」ではなく、「測ったデータをどう活かすか」が企業に強く求められています。
(上位3項目)
出典:厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」
データが示す通り、多くの従業員が「仕事の量」や「対人関係」に強いストレスを抱えています。こうした課題は、個人の努力だけでは解決が難しく、組織的なアプローチが不可欠です。
高ストレス者への「面談」ハードルをどう下げるか
高ストレスと判定されても、自ら「医師の面接指導を受けたい」と申し出る従業員は非常に少ないのが実情です。「社内に知られたくない」「面談を受けると人事評価に悪影響が出るのではないか」という不安や誤解があるためです。
このハードルを下げるためには、外部の専門機関を活用することが非常に有効です。社外の臨床心理士や産業カウンセラーといったメンタルヘルスのプロフェッショナルによる相談窓口を設けることで、従業員はプライバシーが完全に守られた安全な環境で、安心して悩みを打ち明けることができます。
個人のケアから「組織のケア」へ(集団分析の活用)
個人のフォローアップと同じくらい重要なのが、「集団分析」を活用した職場環境の改善です。
部署や年代、職種ごとにストレスの傾向を数値化して分析することで、「仕事の裁量権が少ない」「上司からのサポートが不足している」といった、特定の部署に潜む根本的な課題がはっきりと浮き彫りになります。この客観的なデータをもとに、管理職向けのラインケア研修を実施したり、業務フローを見直したりすることで、不調者が出にくい「健康な組織づくり」へと繋がっていくのです。
専門家によるシームレスなサポート体制の構築を
ストレスチェックの準備から実施、そして事後措置までを人事担当者様だけで抱え込むのは、非常に大きな事務負担となります。実施計画の策定、検査キットやWEBシステムの準備、未受検者への勧奨、そして面談の手配——これらを通常業務と並行して行うのは至難の業です。
煩雑な業務を効率化しつつ、質の高い事後フォローを行うためには、テストの実施から集団分析、専門家によるカウンセリングまでを「ワンストップ」で対応できる外部機関との連携が鍵となります。
まとめ
ストレスチェックは、組織の隠れた課題を見つけるための大切な「健康診断」です。結果を真摯に受け止め、適切な処方箋(事後措置)を実行してこそ、従業員がいきいきと長く働ける職場環境が実現します。
今年のストレスチェックは、ぜひ「その先」を見据えた、価値のある運用を目指してみてはいかがでしょうか。