健康経営について

健康経営優良法人の認定を取りたい—中小企業が最初にやるべきステップ

「何から手をつければよいかわからない」が最大の壁

「健康経営優良法人」という言葉を耳にしたことはあっても、「取り組み方がよくわからない」「中小企業には難しそう」と感じている経営者・総務担当者の方は少なくありません。実際、認定取得を検討しながらも最初の一歩が踏み出せず、毎年申請期限を見送ってしまうケースは珍しくないようです。

しかし健康経営とは、従業員の健康を「コスト」ではなく「投資」(=健康投資)として捉え、経営戦略の一環として取り組む考え方です。大企業だけのものではなく、中小企業こそ取り組む価値があります。本コラムでは、認定取得を目指す中小企業が「最初にやるべきこと」を具体的にご紹介します。

1 まず制度の全体像を正確に把握する

健康経営優良法人制度は、経済産業省が主導し、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度です。大企業向けの「大規模法人部門(ホワイト500)」と、中小企業向けの「中小規模法人部門(ブライト500)」に分かれており、中小企業は後者を目指すことになります。

2026年度の認定においては、大規模法人部門で2,966法人、中小規模法人部門で18,776法人が認定を受けています(出典:経済産業省「健康経営優良法人2026」)。中小企業の認定数が年々増加していることは、「中小企業にも取り組める制度である」という証でもあります。

申請にあたっては、経済産業省が公開している申請書類・評価シートを活用します。まずは公式ページ(経済産業省「健康経営」)にアクセスし、最新の認定要件や申請スケジュールを確認することが出発点です。制度の内容は毎年アップデートされるため、前年度の情報をそのまま使い回すことは避けましょう。

2 自社の現状を「見える化」する——健康課題の把握から始める

認定取得のための「形だけの取り組み」は、長続きしないうえ、従業員にも経営にも実質的なメリットをもたらしません。大切なのは、まず自社が抱える健康課題を正確に把握することです。

具体的には以下の観点から現状を整理してみましょう。

定期健康診断の受診率 受診率が低い場合、その原因(日程の問題・受診勧奨の不足など)を探る
長時間労働の実態 過重労働は、アブセンティーズム(病気や体調不良による欠勤・遅刻)とプレゼンティーズム(出勤はしているが体調不良により生産性が下がっている状態)の両方につながります
メンタルヘルス不調の傾向 ストレスチェックの結果や、離職・休職の背景にある要因を確認する

これらのデータが十分に揃っていない場合、まずデータ収集の仕組みを整えることが先決です。50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されていますが、50人未満の事業場でも任意で実施することが推奨されています。

3 「誰が推進するか」を決め、社内体制を整える

健康経営の取り組みが形骸化する最大の原因は、「担当が明確でない」ことです。中小企業では兼務が多く、専任担当者を置くのが難しいケースもありますが、少なくとも「この取り組みの責任者は誰か」を経営者が明示することが重要です。

経営者自身が旗振り役となり、健康経営を経営方針の一つとして社内に発信することが、認定要件においても重視されています。また、健康保険組合や協会けんぽとの連携(いわゆるコラボヘルス)も評価項目の一つです。コラボヘルスとは、事業主と保険者が連携して従業員の健康増進に取り組むことを指します。まずは自社が加入する保険者に相談してみることをお勧めします。

まとめ——「認定」はゴールではなく、スタートライン

健康経営優良法人の認定取得は、自社の取り組みを対外的に示す有効な手段ですが、認定そのものが目的になってしまうと本末転倒です。認定をきっかけに、従業員が働きやすい環境を継続的に整えていくことが、採用力の強化や生産性向上につながる本来の目的です。

中小企業が最初に取り組むべき3ステップ

1. 制度の正確な理解 → 2. 自社の健康課題の把握 → 3. 社内推進体制の構築

というシンプルな3ステップです。産業医の関与や専門家への相談が必要な場面も出てきますので、お気軽にご相談ください。

参考資料

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