「うちの会社は何をすればいいの?」その疑問にお答えします
「特定保健指導って、健保組合がやることでしょう?」——中小企業の経営者や総務担当者からよく聞かれる言葉です。確かにその通りではあるのですが、職場としてまったく無関係かというと、そうとも言い切れません。特定保健指導の目的・仕組み・役割分担をきちんと理解しておくことは、従業員の健康を支える職場環境づくりの第一歩になります。このコラムでは、制度の基本から「健保組合がやること」「会社ができること」の違いまでを、平易な言葉で整理します。
1 そもそも特定保健指導とは何か
特定保健指導は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防・改善を目的とした保健指導プログラムです。特定健康診査(特定健診)の結果をもとに、生活習慣病リスクが高いと判定された方に対して、保健師や管理栄養士などの専門職が個別に支援を行います(出典:厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導」)。
この制度が始まった背景には、増え続ける生活習慣病と医療費の問題があります。病気になる前の段階で生活習慣の改善を促すことで、将来の糖尿病や心疾患などの発症リスクを下げることが狙いです。
支援の内容は、リスクの程度に応じて2段階に分かれています。
動機付け支援:リスクが比較的低い方が対象。初回の個別面接または集団面接(20分以上)を1回実施し、自分で目標を立てて生活改善に取り組めるよう支援します。
積極的支援:リスクが高い方が対象。初回面接に加えて、3か月以上にわたり電話・メール・対面などを組み合わせた継続的なサポートを実施します。
いずれの場合も、単に「痩せてください」と伝えるだけではなく、個人の生活スタイルに合った行動目標を一緒に設定し、実践・定着を後押しする点が特徴です(出典:厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導」)。
2 「義務を負うのは健保組合」——制度上の役割を正しく理解する
特定健診・特定保健指導の実施義務は、保険者(健康健康組合や協会けんぽなど)にあります。事業主(会社)には法令上の実施義務はありません(出典:厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導」)。
少し整理すると、次のようになります。
保険者は「特定健康診査等実施計画」を策定し、加入者(従業員とその家族)に対して計画的に特定健診と特定保健指導を提供する責任を持ちます。保健指導の実施にあたっては、保険者が外部の専門機関に業務を委託するケースも多くあります。
一方、会社は法令上の義務主体ではありませんが、「従業員が健診を受けられる時間を確保する」「保健指導の案内をスムーズに届ける」「対象者が気兼ねなく参加できる職場文化をつくる」といった環境整備の面で大きな役割を担うことができます。
3 会社として「できること」「すべきこと」
健保組合が特定保健指導を実施するにあたって、日常的に従業員と接する会社側の協力は不可欠です。具体的には、以下のような関わり方が考えられます。
まとめ——制度を「他人事」にしない姿勢が健康経営の出発点
特定保健指導は健保組合が主体となって実施するものですが、従業員の健康は会社の生産性や離職率にも直結するテーマです。「義務がないから関係ない」と距離を置くのではなく、保険者と会社がそれぞれの立場でできることを着実に実行することが、働く人の健康を守る職場づくりの基本となります。まずは、自社の従業員が加入する健保組合の取り組みを確認してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
- 厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161103.html
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